ユネスコ「人間と生物圏」(MAB)計画。日本MAB計画支援委員会のサイトです。

MAB計画の特徴

MAB計画は、UNESCOが1971年から始めた保全と利用の調和を図る国際的な取り組みです。特に、手付かずの自然を守ることが原則となる世界自然遺産と違い、日本が主張している「自然との共生」の理念にも合致します。

MAB計画の財産の一つは、ユネスコエコバーク(BR)が1995年セビリア戦略で掲げた核心・緩衝・移行地域というZoning(分区制)です。これはMAB計画の経験が生み出した保全と利用の両立を図る知恵です。それ以前はこの3区分は必須ではなく、日本の1980年登録の4つのBR及び屋久島、白神、知床世界遺産はもどれも核心地域と緩衝地域*を持っていました。日本の林野庁の「森林生態系保護地域」もかつてのBRをモデルとしたと言われています。現在のMAB計画は、保護ずべき核心地域と、自然資産を持続的に利用する移行地域を分け、移行地域での取り組みを重視しています。

世界に二つとない原生自然の希少価値を認知する趣旨の世界自然遺産の新規登録が極めて厳しくなりつつあるのに対し、ユネスコエコパークは海外では順調に登録地を増やし続けています。これは、世界各地で保全と利用の両立を図るという取り組みが進んでいるからです。この取り組みは、希少価値でなく、人と自然のあり方のモデル(模範)となる地域です。日本からも、地域の取り組み、国内での連携だけでなく、国際的な連携を図るには、MAB計画が絶好の舞台となります。MAB計画の経験と研究成果は国際的な財産であり、MAB計画には登録地の取り組みを世界と学びあう組織と人と地域の輪(地図new一覧new)があります。

ユネスコエコパークに登録するには、候補地の自然の価値の記載だけでなく、地域にかかわる研究者、それを利用する地域の人々、地方行政府の日常的な活動が必要です。これも、国家が責任を持ち、法規制で保護する世界遺産と異なり、参加型アプローチ(Participatory approach)と呼ばれる、これら地元の担い手が主役となる取り組みです。MAB新戦略(2015-2025)では、登録地の環境にやさしい農林水産物を積極的に商品化(Brand化)する国際的な支援策も検討しています。

知床世界遺産では、2005年の登録時に政府が地元漁民に「遺産登録に伴う新たな規制を行わない」と約束し、審査したIUCNが海域の更なる保護を求めたのに対して、漁民が自ら禁漁区を拡大する措置をとりました。これは共同管理の典型例として国際コモンズ学会は2010年に「世界の6つのインパクトストーリー」の一つに選びました。この知床の取り組みは、世界遺産というよりMABの理念に沿うものといえます。

自然保護には、手つかずの自然をありのままに保存する考え(Protectionism)と、自然の恵みを持続可能に利用する保全という考え(Conservationism)があるといいます。世界自然遺産は前者であり、MABは後者の典型と言えるでしょう。国際的にも、世界危機遺産に指定されていたガラパゴスなど、世界遺産登録後にMAB/BRに登録した例があります。

 

2010年10月2日 松田裕之
2015年9月15日一部改訂

*2012年6月改訂 日本ユネスコ国内委員会ではBuffer zoneの訳語を「緩衝地域」と定めました
*MAB計画とは何かについてはユネスコMAB計画のサイトも参考にしてください。

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