「ユネスコ・MAB計画」に関して(2010.5)(2016.7、2017.12改定)
1.MABとBRについて(基本文書サイトも参照)
1971年に発足したMAB(Man and the Biosphere)計画は、「人-Man」が営むあらゆる活動と「環境-Biosphere」との相互関係を理解し、資源の持続可能な利用と環境保全を促進することを目的とした国際協力プログラムである。その活動の一つとして、自然保護と持続可能な利用を考えて、自然と人間との相互関係の構築を目指した地域を「生物圏保存地域Biosphere Reserves;BR」に1976年より認定している。120カ国の669地域(越境BR10地域を含む)となっている(2017年12月現在)。BRは核心地域(core area)、緩衝地域(buffer zone)、移行地域(transition area)の3つのゾーニング設定を必要としており、核心地域では生物多様性(景観・生態系・種と遺伝的多様性)の保護、緩衝地域と移行地域では地域社会に恩恵をもたらす社会経済開発、さらに科学的研究調査、研修・教育、モニタリング、人々の参画などを通じ、3つのゾーン間での機能的な結びつきを確立することが目標とされている。
1995年のセビリア戦略の合意、2000年のセビリア+5会議、2008-2013年の「BRの世界ネットワークに関するマドリッド行動計画(MAP)」などを経て、MAB戦略2015-2025及びリマ行動計画(2016-2025)が始まっている。同行動計画では、BRのネットワーク強化、データベースの見直し、能力形成、国連持続可能な開発目標(SDGs)への貢献など、62の行動が示されている。
2.国際調整理事会
国際調整理事会理事国(MAB-ICC)は、34か国で、理事会は2年に1度、ユネスコ本部(パリ)などで開催される。2011年より我が国は理事国を務めている。
3.東アジア生物圏保存地域ネットワーク会議 EABRN(East Asian Biosphere Reserve Network)
東アジアの生物圏保存地域ネットワーク(EABRN)は、中国、朝鮮民主主義人民共和国、日本、モンゴル、大韓民国、ロシアとカザフスタンが参加している。1993年のユネスコ総会において、「生物圏保存地域のための共同研究体制の強化」と「生物圏保存地域の行動計画の実施」を目的として発足が承認され、3つの課題を持っている:①エコツアー、②保護政策、③国境を超えた保存。第1回は、中国の北京・四川(1994.3)で開催され、直近では第13回がモンゴル(2013.9)、第14回が志賀高原(2015.10)で開催された。
また、2004年1月に「生物圏保存地域の管理における地理情報システムに関するトレーニングコース」が実施され、日本から2名が参加している。その後も2年ごとにEABRN主催の研修会が開催されている。
教育等への活用を促進するためにBRを各国語と英語で紹介する冊子「BR Atlas」の作成が第10回会議において合意され、日本は2009年に計画委員会が「EABRN Biosphere Reserve Atlas Japan(2009)」を刊行した。
4.我が国のMAB活動
4.1 我が国の体制
4.1.1 日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会MAB計画分科会
○磯田博子筑波大学教授(委員長)他国内委員2名、調査委員
4.1.2 日本MAB計画委員会
○位置付け:任意団体、松田裕之横浜国立大学教授(委員長)他
○各地のMAB活動の支援
4.1.3 日本ユネスコエコパークネットワーク (第3回開催報告)
○位置付け:任意団体