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生物圏保存地域審査基準

2011年10月18日(2014年5月20日一部改正) 日本ユネスコ国内委員会MAB計画分科会

1. 生物圏保存地域の目的
生物多様性の保全、経済と社会の発展及び学術的支援の3つの機能をもち、自然環境の保全と人間の営みが持続的に共存している地域を指定することにより、地域の取組と科学的な知見に基づく人間と自然との共生に関するモデルを提示する。

2. 審査基準
次の審査基準の全てを満たしていること。

(1)生物圏保存地域候補地の機能
次の3つの機能もつこと。

① 人間の干渉を含む生物地理学的区域を代表する生態系を含み、生物多様性の保全上重要な地域であること
② 自然環境の保全と調和した持続可能な発展の国内外のモデルとなりうる取組が行われていること
③ 持続可能な発展のための調査や研究、教育・研修の場を提供していること

(2)ゾーニング
核心地域、緩衝地域及び移行地域の3地域にゾーニングされており、各地域が次の要件を全て満たしていること。

① 核心地域
・法律やそれに基づく制度等によって、長期的な保護が担保されていること
・次のカテゴリーの1つ以上に合致していること

(ア) 生物地理学的区域を代表する生態系であること
(イ) 生物多様性の保全の観点から重要な地域であること
(ウ) 絶滅危惧種等希少な動植物が生息あるいは生育していること

・動植物相や植生等の調査の蓄積があり、公開に努めていること

② 緩衝地域
・核心地域の周囲又は隣接する地域であり、核心地域のバッファーとしての機能を果たしていること
・核心地域に悪影響を及ぼさない範囲で、持続可能な発展のための地域資源を活かした持続的な観光であるエコツーリズム等の利用がなされていること
・環境教育・環境学習を推進し、自然の保全・持続可能な利活用への理解の増進、将来の担い手の育成を行っていること

③ 移行地域
・核心地域及び緩衝地域の周囲または隣接する地域であること
・緩衝地域を支援する機能を有すること
・自然環境の保全と調和した持続可能な発展のためのモデルとなる取組を推進していること

(3)設定範囲

・生物圏保存地域(①核心地域、②緩衝地域、③移行地域)の設置目的を果たすために適度な広さであること
・相互の地域が干渉しないこと

(4)計画

・生物圏保存地域全体の保全管理や運営に関する計画を有していること
・研究・モニタリング、教育、研修に関する計画を有していること
・地域の振興や自然環境と調和した発展に関する計画を有していること

(5)組織体制

・生物圏保存地域の管理方針又は計画の作成及びその実行のための組織体制が整っていること
・組織体制は、自治体を中心とした構成とされており、土地の管理者や地域住民、農林漁業者、企業、学識経験者及び教育機関等、当該地域に関わる幅広い主体が参画していること
・生物圏保存地域が有する価値を確実に保全管理していくための包括的な保全管理体制が整っていること
・国内外からの照会等に対応可能であること
・生物圏保存地域の保全管理や運営に対する財政的な裏付けがあること

(6)ユネスコBR世界ネットワークへの参画

・BR申請時や定期報告の際などに行われるユネスコによる審査に対応可能であること
・BRの設定が認められた場合に、ユネスコBR世界ネットワークに加盟する意思があること
・ユネスコBR世界ネットワークによる取組に協力が可能であること

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