日本MAB計画委員会 会議 議事メモ 2012.03.20(平成24年) 場所:龍谷大学(瀬田)2号館110室 日時:平成24年3月20日 14:00-15:00 出席者: 松田裕之・酒井暁子・湯本貴和・朱宮丈晴・中越信和・岡野隆宏・増澤武弘・井田秀行・松井淳・若松伸彦・小出大・桜井良 日本生態学会大会開催期間に、本会を開催した。 報告事項 1.第1回世界島嶼・沿岸Biosphere Reserveネットワーク会議について (松田)2月14日〜17日の第一回Biosphere Reserveネットワーク会議(スペイン)で屋久島の話をした。 2.既存BR関係市町村の文科省会合について (松田)1月18日に既存BR関係市町村の文科省会合が行われた。既存のサイトなので静岡県など、今後申請予定の地域には声をかけていない。市町村も含めていかなければ難しいので、今後も活動を広くアピールしていきたい。 (岡野)もともとBRは環境省が登録地選定を行った経緯があり、市町村まで周知されていないのが現状。環境省の担当者には覚悟をしてもらわなければならない。 (松井)ユネスコの所轄官庁は文部科学省であり、教育委員会が窓口になったほうがよいという話もある。 (岡野)文部科学省は教育委員会が担当として適当でないと判断するだろう。 (酒井)他の県では、大体自然環境課が担当していると思う。 (中越)国立公園が担当しているところでは、国立公園となるが。 (松田)実際、来ていただいても何をしていいかわからないということも多々ある。 (中越)トランジションエリアがなぜ必要なのか、といった説明も難しい。 (松田)志賀高原は熱心にやっている。綾もトランジションエリアも含めた申請をしている。審査に通れば、国内初のトランジションエリアも含めた成功例になる。成功例ができれば、他の地域に応用する際も、例えば屋久島町は一つの町なのでやりやすいはずである。 (湯本)担当部局の人に伝えるときに、具体的な事例を示す必要がある。メリットがあることをしっかり伝えなければならない。 3.ProSPER.netの関連プロジェクトについて (酒井)ProSPER.netには、横浜国大は去年加盟し、国連大学よりプロジェクトに申請しないか、という話があった。これまでのプロジェクトでは、生物多様性関連に弱かったという事、また今後MABを活用する為ということもあり、申請書を横浜国大で作成し提出した。金額は400万円ほどで、それほど多くはない。このプロジェクトでは、講義を行い、汎用性のある教材を作成する予定である。韓国のYonsei大学は決まり、University of South Pacificは最後の段階である。これが軌道にのれば、皆様にも協力をお願いしたい。 4.知床シンポジウム報告、地球研の関連プロジェクトについて (松田)2月27日に知床でシンポジウムが行われた。地球環境ネットワークの催しである。地域が経済的に自立するために、研究者も地域に住み込むながらやっていくシステムを作るという趣旨である。世界遺産について発表をおこなった。 5.対馬ユネスコエコパーク講演会開催報告について (酒井)ユネスコエコパークに興味をもってもらった対馬の市長から話を頂いた。主要な関係者は大体参加し、興味はもってもらったが、誰が主体的に活動していくかという部分で、今後も考えていく必要ある。その市長は再選された。自然保護センターのアクティブレンジャーなど、今後コアなメンバーになってもらえればと思う。 (中越)対馬では、ツシマヤマネコの放獣に歯止めがかかっている。 (酒井)アクションを起こしにくい地域がらでもあるかもしれない。 (湯本)複数の市町村が合併したため、まだ地元に人は、対馬市という意識をもってないのではないか。 6.只見町行事報告について (酒井)3月17日−18日に只見町で開催された。只見町は熱心な保護活動をしている地域である。16日の町議会で、登録に向けて予算がついた。実質的なリーダーは鈴木和次郎さんで、学術研究拠点を目指したいとのことである。しかし、それだけでは、住民の賛同を得難いので、ブランド価値も高めたい。綾に視察に行くようにと、伝えた。ブランドを高めるための検討委員をまず作った。メンバーに酒井と、また新潟大学と福島大学の生態学の研究者も入った。 7. 1月19日 過ち「事業説明会〜ユネスコエコパークって何?〜」開催について (朱宮)ユネスコエコパークに関する住民への説明も兼ねた講演会をした。ドイツのレーンの事例について等、お話しした。 (湯本)岡野さんにも、九州で説明会を開いてもらった。130人くらい集まった。 (岡野)幅広いテーマで、分科会を設けてできた。 (若松)3月8日、志賀高原のコアエリアがある山ノ内町に、酒井さんと行った。町長、副町長、観光課、教育委員会、地元環境省保護官、町の全ての課の課長の前で説明をした。内容は、どういうメリットがあるのか等。地元の有力者を全て集めて話し合いができた。今後はゾーニングの設定を山ノ内町主体でおこなっていくことになる。 (酒井)まずはモデルを作って、他の市町村も興味を持ってもらえれば自主的にやってもらえるようになる。 (若松)どこが担当するのか、という質問があった。 (松田)地域の取り組みとしては教育委員会も必要。環境省の中でも担当をどこにするのか話している。 8.南アルプスの進捗状況について (増澤)南アルプスはかなり進んでいる。静岡側は自分が書いた。これまで根気よく進めたので、これで書類を書きたいと思う。南アルプス市も書くつもり。長野県はほとんど進まないが、ゾーニング案は出してきた。交渉はしていないので、線を描いただけだが。 朱宮さんにも来てもらって、具体的な書き方を教えてもらった。 今度、綾にも行くが、長野県関係者は来ない。3月いっぱいでゾーニングを作ってしまいたい。静岡側は私有地ばっかりだが、そこがオッケーすれば、ほぼ決まる。小さいところのモデルを作れば、一気に進む。 来年の4月から3県合同の申請書を作る。長野県が出来てないが。1年で英語にして提出したい。今年の5月25日の鈴木学長の講演で、活動行事は一段落つく。あとは書類作成だけ。教育委員会は関係しておらず、全て環境関係が担当である。 問題は、早川町は全部をバッファーゾーンにしてくれ、と言っていることである。木は一切切らないという方針で、自然の中で生きていくというのが町長の考え。そこは酒井さんにも考えてもらいたい、理論的にも。バッファーゾーンとトランジションの違いをしっかり理解してもらわなければならない。 9.知床世界遺産科学委員会(クマ検討会議)について (松田)2月22日に知床世界遺産委員会が標津町にてクマ会議をした。その場を借りて、MABの説明をした。ひょっとしたら、今後MABのネットワークに入ってもらうかもしれない。 10. その他:InfoMAB(事務局)、ユネスコパートナーシップ事業申請について (若松)InfoMABや去年のパートナーシップ事業の日本語版などを作成した。綾町の報告、松田先生の原稿などを含めて、あと二つ作成する予定である。ぎりぎりなので頑張ってやっていきたい。 (酒井)パートナーシップ事業申請について、去年の3倍の規模で申請した。内容は、志賀高原でやったことを三か所でやる。ゾーニングの見直しのためにも、こういった作業は必要である。去年のドイツのレーン視察は本当に役に立った。各地で話をするときに、説得力が全然違う。レーンは経済的な部分でかなり力を入れていて、事務局もしっかりした体制を敷いている。 (松田)COP10のときに、予算をつけてもらった。今後もしっかり準備をしていきたい。 (朱宮)2月3日に東京浜松町で、地域戦略策定のための話し合いをした。松田先生にもお話をして頂いた。綾町の事例を河野先生にも話してもらった。 審議事項 1.J-BR-net規約と今後の活動について (松田)J-BR-net規約は、特に文言は変わっていない。行政担当者、市民など、研究者だけでないネットワークにする。活動の提案も皆様にお願いしたい。 2.既存BRの見直しについて (松田)既存BRの見直し。綾を推薦することが今年度の国内委員会の最大の仕事だった。 ユネスコ総会で、日本がMAB国際調整理事国になった。以前はオブザーバーだった。これで、文科省としても元気を得たはずである。 (中越)ゾーニングを決めたからには、説明が必要である。植生図くらいではだめ。石川県では自然センターでしっかり研究をしている。富山と岐阜と福井は難しい。石川県とはコンタクトはとっているが。気になることは、(今後は)ジオパークもユネスコの審査の対象となるかもしれないということである。その場合、ユネスコエコパークとジオパークは並立で登録されうるのか。ジオパークになると、ユネスコエコパークから外れるのか。世界遺産は二重登録できるが。 アメリカとヨーロッパが主導して、ジオパークを世界遺産並みにしようという動きもある。 3. 新規BRの準備の進め方について (増澤)佐渡は、ユネスコエコパークへの理解も少なく、うまくいかないと思われる。コアゾーンにしてしまうと、演習林としても使えなくなってしまう。しかし、逆に使っていない演習林を全部コアゾーンにもできるという話もある。 (酒井)コアエリアが国定公園第2種でもいいのか。 (増澤)ちょっと弱いかもしれない。 (岡野)全体の仕組みをどうするかが重要。世界遺産とMABの候補地を探すと言っているが、具体的にMABをどう決めるか。 MAB特集号(生態学会)を早く出すべきである。そこに、ゾーニングのこれまでの歴史や行政機関の対応について等全て書いた。また、説明会も必要である。ユネスコ国内員会が文科省等、各省庁を呼ぶ形がいいのではないか。 4.その他 生態学会静岡大会について/ EAFESとの連携について (増澤)静岡で来年の生態学会を実施する。そこで、公開講座とシンポジウムを二つやりたい。公開講座は(世界遺産をテーマに)科研費を出した。知床は松田さん、屋久島は湯本さん、小笠原は可知さん、富士山は私、という方向でやりたい。シンポジウムはユネスコエコパークでやってほしい。 (松田)EAFESとは、日中韓の生態学連合である。湯本さんがずっと日本側の担当だった。再来年は中国が担当であり、日中韓で一番MABが停滞しているのは日本である。2年後、3月下旬から4月はじめまで、広東州でEAFESの会合がある。 (湯本)MABに関する一般書、志賀高原とはどんなところか等、を出す事を考えないか。 (酒井)パンフレットはパートナーシップ予算で申請してある。一般向けと子供向けである。しかし、書籍としては必要である。 (中越)環境教育をやっているということなどで、書いていける。 (書記 桜井)